忘れられた-医の倫理-を考察する
医療系の大学の必修科目に「医療倫理教育」というものがあります。
大学によって講義の名前や内容は変わると思いますが、
うちの母校では「医の倫理」という内容で
国家試験でも問われる範囲でした。
そこから臨床に上がってから十年以上が過ぎ
いろいろな病院や歯科医院をまわっていますが
そのような倫理や哲学を土台として
大きく病院理念というものを取り上げているところは、、、
ハッキリ言ってほとんど見かけません。
大学時代に学んだはずの原点が
知らぬ間に国家試験を乗り越えるためのものになり
実践すべき現場では、日々の仕事に追い回されている
そんな気がします。
ただ、医院の理念とかそういうものは
その医院の目的、方向性を示すものであり
本当は最も重要なものであり、日々確認すべきものだと思います。
医学だけでない。企業の理念・哲学
実は医療系のみならず、多くの企業でも
企業の果たすべき社会的責任として
理念や精神を掲げているところがあります。
特に多くの一流企業は理念が存在しないところの方が
珍しいと言えるかもしれません。
「京セラ」「ユニクロ」「ローソン」「日立」・・・
理念とか、ビジョンとか、ミッションとか
微妙に言葉は違えど、どこでも設定されています。
特に医療従事者は「生命の尊厳」や「命の意味」が根底とされており
そこを明らかにしないと栓の抜けたお風呂のようになってしまうでしょう。
もちろん、理念はそれぞれが決めるものだとは思いますが
今回は一流企業の中での共通項といったところを紹介したいと思います。
自利利他の精神
今回は「自利利他の精神」ということを紹介したいと思います。
元々は仏教の言葉ではありますが
自利ー職員の幸せ
利他ー顧客(患者)の幸せ
ということで「患者を幸せにするままが、職員の幸せとなる」となります。
これらが同時でなければならないので
「職員が幸せである」ことと「患者を幸せにする」が共存する必要があります。
顧客(患者)第一はおおいに結構ですが
職員が疲弊していては意味がありません。
何それ、当たり前じゃん。。。
と思いますか?
「相手を幸せにするままが、自分の幸せになる」
当たり前のようで実践は難しいことです。
医療従事者は哲学を持とう
医学は手段であって目的ではありません。
「安楽死」の問題や臓器移植の是非、脳死の判定基準など
医学だけでは答えられません。
「生命の尊厳」を伝えきれるような哲学を持った
医療従事者でありたいものです。